はじめに
土地の活用を検討している方の中には、「防火地域だと木造は使えないのでは」「耐火にすると鉄骨より木造の方が高くなることがあるらしい」という話を耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- そもそも自分の土地は、耐火性能が求められる場所なのか
- 耐火木造とJFEフレームキット(軽量鉄骨)、結局どちらが安いのか
- 廊下の作り方によって、必要な性能が変わるとはどういうことか
本記事では、都心部のアパート建築で耐火性能が求められる理由と、耐火木造・JFEフレームキットそれぞれのコスト構造の違いを、施工会社の立場から解説します。相続した土地の活用を検討している方が、ご自身の土地に当てはめて考える手がかりになる内容です。
まず確認したい:自分の土地は耐火性能が必要な場所か
耐火・準耐火の要件は、土地が所在する「防火地域」「準防火地域」の指定や、建物の階数・延べ面積によって決まります。ご自身の土地がどの地域に該当するかは、市区町村の都市計画情報(都市計画図・用途地域マップなど)で確認できます。役所の都市計画課の窓口やホームページで調べられることが多いので、まずは一度確認してみることをおすすめします。
ご自身で調べるのが難しい場合は、当社にご相談いただければ確認のお手伝いをいたします。心配な方は、後述のお問い合わせからご相談ください。
なぜ都心のアパートは「耐火」が必要になるのか
防火・準防火地域の指定は、火災が周囲に広がらないようにするための都市計画上のルールです。
郊外や地方に多い建蔽率の低いエリアでは、敷地の中で建物同士の距離を取りやすく、隣家に燃え移るリスクが相対的に低いため、防火・準防火の指定がないか、指定があっても要件が緩やかな場合があります。
一方、都心部は建蔽率が高く、敷地いっぱいに建物を建てることが多いため、隣接する建物との距離が近くなります。火災が燃え広がりやすい環境であるため、防火地域・準防火地域に指定され、耐火性能が求められることになります。そもそも軽量鉄骨や耐火木造の検討が必要になる時点で、その土地は都心部やその近郊にある可能性が高いとも言えます。
同様の理由から、旗竿地や隣地との距離が近い敷地でも、耐火性能を求められやすくなる傾向があります。旗竿地・狭小地特有の建築条件については、別記事「旗竿地・狭小地にアパートは建つ?」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
木造で耐火をとる方法とそのコスト構造
木造で耐火性能を確保する場合、木でできた骨組みを、石膏ボードなどで何重にも覆って燃えにくくする方法が一般的です。柱・梁の周りに複数枚のボードを貼り重ねる仕様(いわゆる「ボード4枚貼り」などの仕様)になることが多く、材料費・施工手間の両面でコストが上がります。
しかも、耐火木造であっても法定耐用年数は木造として一律22年のままです(この法定耐用年数は税務上の減価償却を計算するための年数であり、実際の建物の寿命を示すものではありません。なお、JFEフレームキットは柱板厚4.5mm仕様への変更により法定耐用年数34年の区分にすることも可能ですが、その場合はコストが変わります。詳しくは別記事「軽量鉄骨の耐用年数は34年になる?」で解説しています)。耐火性能を確保するためのコストをかけても、税務上の耐用年数区分が有利になるわけではない、という点は押さえておきたいポイントです。個別の税務上の取り扱いは条件により異なりますので、詳細は税理士等の専門家にご確認ください。
JFEフレームキットの耐火の取り方
JFEフレームキットは、外壁にALC(軽量気泡コンクリート)板の50mm仕様を使い、内側を石膏ボードで二重張りすることで、独自の耐火認定を取得しています。
鉄骨造で耐火性能を確保する場合、一般的にはALC100mm仕様が使われることが多いのですが、JFEフレームキットはその半分の厚みであるALC50mmで耐火認定を持っている点が特徴です。
なお、外壁の意匠性を重視される方向けの補足ですが、JFEフレームキットの耐火認定はALC板を前提としたものであり、窯業系サイディング(ようぎょうけいサイディング。セメントと繊維質を主原料とする、戸建て住宅などでよく使われる外壁材)での耐火認定は取得していません。 サイディングは意匠のバリエーションが豊富な反面、この工法では使えない点はあらかじめご了承ください。
一言でいうと:木造は「木の骨組みをボードで覆って燃えにくくする」、JFEフレームキットは「もともと燃えにくいALC板を使う」というアプローチの違いです。

価格が逆転する条件
建築費の相対的な目安は、以下のような序列になります(木造を基準とした一般的な目安であり、実際の金額は土地条件・プラン・仕様により変動します)。
| 構造 | 建築費の目安(木造を基準とした場合) |
|---|---|
| 木造(耐火仕様なし) | 基準 |
| JFEフレームキット(軽量鉄骨) | 木造の+15〜25%程度 |
| 大手ハウスメーカーの鉄骨商品 | フレームキットよりやや高い水準 |
| 重量鉄骨 | 木造の+40〜50%程度 |
| RC造 | 木造の2倍前後 |
ここに耐火仕様が加わると、話が変わってきます。耐火木造はボードを何重にも貼る分のコストが積み上がるため、通常の木造と比べて建築費が上乗せされます。一方、JFEフレームキットの耐火仕様は、ALC50mm+ボード二重貼りというシンプルな構成で完結します。
そのため、木造に耐火仕様を求められる条件(防火地域・準防火地域など)では、通常時は「木造の方が安い」という前提が崩れ、耐火木造とJFEフレームキットの価格差が縮まったり、逆転したりするケースが出てきます。実際の商談でも、耐火木造の見積もりを見た方から「こんなに高くなるなら鉄骨でいい」というお声をいただくことは珍しくありません。とはいえ逆転の度合いは建物の規模・階数・プランによって変わるため、正確な金額は敷地条件によって変わりますので、無料の概算見積もりでご確認いただくのが確実です。

ここまで読んで「専門的で分かりにくい」と感じた方は、この先も読み進めていただいて構いませんが、詳しい判断はいつでもお任せいただけます。ラフな図面・敷地の住所だけでご相談いただくことも可能です。プランがまだ固まっていない段階でも歓迎です。お問い合わせフォーム
プランニングで耐火になるかが決まる例:内廊下 vs 開放廊下
同じ延べ床面積でも、廊下の作り方によって求められる性能が変わることがあります。
外気に開放された「開放廊下」は、火災時に煙がこもりにくく避難しやすいため、比較的性能要件が緩やかになりやすい傾向があります。一方、建物内部に廊下を作る「内廊下」は、見た目や居住性の面で好まれる一方、火災時に煙がこもりやすいため、耐火性能を求められやすくなります。
間取りや廊下の設計次第で、必要な性能区分が変わってくるという点は、プランニングの早い段階で確認しておきたいポイントです。
デメリット・注意点
- JFEフレームキットも、木造(耐火仕様なし)と比べれば建築費は高くなります。
- 外壁はALC仕様が基本となり、窯業系サイディングのような多様な意匠は選べません。
- 耐火・準耐火の要件は自治体・敷地条件によって細かく異なるため、本記事の内容だけで判断せず、個別確認をおすすめします。
家族に説明するときのポイント
- 都心部の土地でアパートを建てる場合、耐火性能が求められることが多く、木造でも追加コストがかかる可能性があること
- JFEフレームキットはALC板を使うことで、比較的シンプルな構成で耐火認定を取得していること
- 廊下の作り方(内廊下か開放廊下か)によって、必要な性能が変わる場合があること
よくある質問
Q. 自分の土地が防火地域かどうか分かりません。 市区町村の都市計画情報で確認できます。住所をお伺いできれば、当社でもおおよその確認が可能です。
Q. サイディングの外壁にすることはできますか? JFEフレームキットの耐火認定はALC板を前提としており、窯業系サイディングでの耐火認定は取得していません。
Q. 耐火と準耐火では、何が違いますか? 求められる性能のレベルが異なります。目安として、準耐火であれば外壁の下地に木材を使える場合がありますが、耐火になると下地が鉄になるなど、より高い性能が求められます。木より鉄の方がコストは高くなる傾向があるため、耐火か準耐火かによって建築費も変わってきます。どちらに該当するかは敷地条件により異なるため、個別確認が必要です。
Q. 準耐火であれば、外壁の仕様は自由になりますか? 耐火に比べて制約は緩やかになりますが、要件は敷地条件により異なるため、個別に確認が必要です。
Q. 設立して間もない会社のようですが、耐火認定の実績はありますか? 当社は2023年設立ですが、在籍スタッフは各分野10〜20年の実務キャリアを持ち、特定建設業許可を取得しています。構造計算はJFE鋼板が担当し、施工品質は当社が一貫して管理する体制です。
ラフな平面図(手描きレベルで構いません)があれば、1〜2週間で概算見積もりをお出しします。お見積もりは何度でも無料です。プランがまだ固まっていない段階のご相談も歓迎します。
株式会社鷲見建築オフィス JFEフレームキット指定代理店|販売から施工まで一貫対応 対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬(部材販売は全国対応) お問い合わせはこちら
※本記事の価格・工期・制度に関する記載は執筆時点の情報です。法定耐用年数・税務の取り扱いは個別の条件により異なるため、詳細は税理士等の専門家にご確認ください。