建物の未来は地盤で決まる!N値と地耐力を徹底解説します!

建築設計において、地盤調査結果は設計の出発点となる極めて重要なデータです。その中でも「N値」と「地耐力」は、基礎設計の成否を左右する要素と言っても過言ではありません。地盤の強度を正しく評価し、適切な設計を行うことは、建築物の安全性や耐久性を確保するために欠かせない作業です。
しかし、「N値からどのように地耐力を推定すれば良いのか」「どのようなケースで地盤改良が必要になるのか」といった具体的な判断に悩む設計士の方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、N値と地耐力の基本的な関係性を解説するとともに、実務に役立つ具体的な設計のポイントをご紹介します。これを機に、地盤調査データをより的確に活用できるようになり、設計の精度を高めていただければ幸いです。
N値とは何か
N値(標準貫入試験値)は、地盤の硬軟を数値で示す指標です。標準貫入試験(SPT)を通じて、63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させ、試験用のサンプラー(直径50mm程度)を地盤に30cm貫入させるのに必要な打撃回数を測定します。このN値は、砂層や粘土層の地盤強度を評価するための標準的な指標として広く利用されています。
N値から基礎設計を考える
ケース1:軟弱地盤の場合
- 状況:N値=2~4、地耐力50kN/m²以下。
- 対応:表層改良や柱状改良を実施し、許容支持力を基準値以上に引き上げます。また、浅い基礎ではなく杭基礎を採用し、支持層に到達させる設計を行います。
ケース2:中程度の地盤の場合
- 状況:N値=15~20、地耐力150~200kN/m²。
- 対応:ベタ基礎または布基礎で十分対応可能。ただし、地震時の挙動を考慮して基礎幅を適切に設計します。
ケース3:硬い地盤の場合
- 状況:N値=30以上、地耐力300kN/m²以上。
- 対応:十分な支持力があるため、過剰設計を避けることがコスト削減につながります。ただし、硬い地盤は施工時に掘削が困難な場合があるため、施工性も検討する必要があります。
地耐力の計算式
実務では、N値を用いて許容地耐力を以下の式で概算することが可能です。
簡易式
許容地耐力(kN/m2)=N値×10
修正式
ただし、地盤の種類(砂質地盤、粘土質地盤など)や地下水位の影響を考慮する場合には、より詳細な式を用いることがあります。
許容地耐力=N値×K
ここで、Kは地盤種別による係数です。
- 砂質地盤:K ≒ 8~12(砂粒が締まっている場合は高め)
- 粘土質地盤:K ≒ 5~8(含水比が高い場合は低め)
設計士が知るべきポイント
1. N値の分布を読み解く
地盤調査結果では、N値が深度ごとに記載されています。例えば、N値が表層で低く深部で高い場合、基礎を深く設定することで安定した支持力を得られることがあります。この場合、杭基礎やベタ基礎の採用を検討します。
2. 地盤の異常値に注意
N値が急激に変化している場合、地盤の不均質性が疑われます。このようなケースでは、追加調査(ボーリング調査や平板載荷試験)を行い、地盤の詳細な特性を把握する必要があります。
3. 地盤改良の必要性を判断
N値が低い地盤では、地盤沈下や液状化のリスクを伴います。この場合、柱状改良や表層改良、あるいは杭基礎などの補強工法を採用することが推奨されます。
弊社取扱の軽量鉄骨について
弊社の取り扱う軽量鉄骨の必要地耐力は、べた基礎時においては
2階建て:20kN/㎡
3階建て:30kN/㎡
以上の数値で建設可能です。
それにより建設可能な土地の選択肢が増えるとともに、地盤改良の金額を抑えつつ建物の建設が可能です。
まとめ
N値と地耐力の関係を正確に理解することは、設計士にとって重要なスキルです。地盤調査データを元に、適切な基礎形式や改良方法を選択することで、建築物の安全性とコスト効率を両立させることができます。
また、N値はあくまで指標の一つであり、地盤種別や地下水位、地震時の挙動なども併せて総合的に判断することが求められます。設計段階での丁寧な検討が、より良い建築物を実現する第一歩です。