「デベロッパー必見!耐火・準耐火・防火構造の違いと選び方のポイント」

ゲリラ豪雨が過ぎ去った後、通電火災のリスクが高まることをご存知ですか?豪雨で浸水した家電や配線が、停電復旧後に通電することで火災を引き起こすことがあります。近年、異常気象が頻発する中で、火災のリスクは私たちの生活にますます身近なものになっています。防災対策として、こうした火災リスクに備えるための建物の耐火構造が、より一層重要視されているのです。

建物の設計・施工において、耐火構造準耐火構造防火構造の選定は、建物の安全性や法的適合性、さらにはコストパフォーマンスに大きな影響を与える重要な要素です。特に土地の投資活用において、これらの構造の違いを理解し、適切に選択することが、建設プロジェクトの成功に直結します。この3つの構造は、建物の階数や延床面積、用途に加え、建設地が防火地域か準防火地域かによって使い分けられます。

本記事では、耐火構造、準耐火構造、防火構造の違いや特徴を明らかにし、計画・建設を効果的に行うための知識を提供します。これにより、火災時のリスクを最小限に抑え、法的要件を満たしつつ、顧客に対して安全で信頼性の高い建物を提供するための基盤を築くことができるでしょう。


1.耐火構造の特徴と役割

耐火構造とは?

耐火構造は、火災時に建物の崩壊を防ぐため、建物の主要な部分(柱、梁、床、壁など)が一定時間、火炎や高温に耐えられる構造です。耐火構造とみなされるために、建築基準法では1時間以上の耐火時間が求められており、これにより火災発生時の避難時間の確保や火災の拡大防止が図られます。

鉄骨に耐火被覆材を施す方法が一般的です。耐火被覆には被覆材を吹き付ける工法やメンブレン工法などがあり、火災時に高温にさらされても熱伝導を抑え、鉄骨が急激に温度上昇して崩壊するのを防ぎます。

法的要件と適用範囲

  • 高さ31m以上の高層建築物や、不特定多数が利用する施設(学校、病院、劇場など)は、耐火構造でなければなりません。
  • 防火地域では隣接建物への延焼を防ぐため、耐火構造が求められます。

保険料の減額

耐火構造を採用することで、保険料の低減や建物の資産価値の向上が期待できます。耐火建築物は火災リスクが低いため、保険会社からの評価が高くなり、保険料が低くなる傾向があります。大規模な商業施設や高層マンションでは、耐火構造がプロジェクトの成功に直結します。


2.準耐火構造とその利用シーン

準耐火構造とは?

準耐火構造は、火災に対して30分から60分の耐火時間を持ちます。耐火構造ほど高い性能はありませんが、一定の火災保護を提供します。間仕切り壁、外壁、柱、床、梁は45分間、軒裏を除く屋根や階段は30分間という、火災に耐える技術的基準が定められています。主に低層の住宅や小規模な商業施設に広く採用され、木造建築にも適しています。

コストパフォーマンス

準耐火構造は、耐火構造と比較して施工コストを大幅に抑えられます。例えば、耐火材の使用量を抑えられることや、施工費を抑えられることなどが挙げられます。2階建て以下の住宅や小規模商業施設では、準耐火構造が十分な耐火性能を持つため、法的要件を満たすためのコスト削減が可能です。また、木造での建設も比較的簡単であるため、耐火構造の物件と比べ、設計の柔軟性が高いのも特徴です。


3. 防火構造の重要性とその適用範囲

防火構造とは?

防火構造は、火災によって倒壊しない非損傷性と、火災による熱が建物内の他の部分へと伝導しないようにすり遮熱性が求められます。耐火構造、準耐火構造との違いは建物内の火災を建物外へ出さないようにする遮炎性が求められないことです。

法的要件

防火地域や準防火地域での建物には、防火構造が必要です。防火ドアや防火窓は20分から60分の耐火時間が求められ、火災時には自動的に閉鎖され、火炎や煙の侵入を遮断します。特に密集地では、火災被害を最小限に抑える役割を果たします。


4.JFEフレームキットによる耐火構造・準耐火構造

JFEフレームキットとは?

弊社の取り扱う「JFEフレームキット」はJFE鋼板株式会社がメーカーの軽量鉄骨です。木造の在来工法を鉄骨に置き換えた構造で、主に集合住宅・老健施設・保育園などに採用いただいております。

JFEフレームキットの耐火性能

 JFEフレームキットは鋼製の外壁下地、外壁ALC50、梁部の耐火被覆、内装強化石膏ボード(厚み12.5 2枚貼り)により1時間耐火の認定を取得しております。また、木製の外壁下地、サイディングの使用で準耐火構造に仕上げることも可能です。

弊社ではフレームキット本体の販売・施工だけではなく、外壁下地、床下地などの設計・製造・施工、それに加え屋根工事、外壁工事などもご希望に沿って請け負っております。そのため既存の協力業者様とともに耐火性能を持つ建物を作り上げることができます。

最後に

建築プロジェクトにおいて、耐火構造、準耐火構造、防火構造の選定は、建物の安全性、コストパフォーマンス、法的適合性に大きな影響を与えます。それぞれの構造には独自の特性と法的要件があり、プロジェクトの目的や規模、立地条件に応じて最適な構造を選定する必要があります。デベロッパーにとって、これらの構造の選定はプロジェクトの成功と顧客満足度に直結する重要な要素です。構造の違いや特徴を把握し、最適な戦略を立てることで、競争力のある建築を提供することが可能となります。